映画『 ジョーカー 』考察レビュー(ネタバレなし)★★★★☆
バットマンの宿敵ジョーカー🃏を主人公に据えた作品。過去作との関係は一切無く、コメディアンを目指す優しい青年アーサーが悪のカリスマへと変貌していく…。
あらすじ
貧富の格差が広がった1981年のゴッサムシティは、犯罪が多発する荒廃都市となっていた。コメディアンを夢見る青年アーサーは、ピエロの仕事をして生計を立てている。賃金は安く、不安定な生活を送るアーサー。彼には追い打ちをかけるように「緊張すると発作的に笑ってしまう」という病気まであった。弱者に無関心な社会で、アーサーは心身ともにボロボロになりながらも賢明に夢を追うが、臨界点はすぐそこまで迫っていた。心優しい青年は、いかに「悪のカリスマ」へと変貌してしまうのか―。
ポスター
作品データ
原題
- 『 Joker 』
上映時間
- 122分
公開日
- 製作国(アメリカ合衆国) 2019年10月4日
- 本国 2019年10月4日
年齢制限/レイティング
- R15(15歳未満の鑑賞禁止)
製作キャスト
- トッド・フィリップス(監督・製作・脚本)
- マイケル・E・ウスラン、ウォルター・ハマダ、アーロン・L・ギルバート、ブルース・バーマン、リチャード・バラッタ、ジョセフ・ガーナ―(製作総指揮)
- スコット・シルヴァー(脚本)
- ヒドゥル・グドナドッティル(音楽)
- ホアキン・フェニックス
- ロバート・デ・ニーロ
- ザジー・ビーツ
- フランセス・コンロイ
- ブレット・カレン
- ダンテ・ペレイラ=オルソン
- リー・ギル
きなこ評
例えば『スラムドッグ$ミリオネア』のように終盤になるにつれて、序盤の主人公の環境からは考えられない様な展開に行き着く映画が好きです。ジョーカーもそんな娯楽性があるサスペンス映画とは言えますが、それだけでは片付けられないメッセージ性を持った作品です。
主人公のアーサーと同じ環境に置かれたら果たして自分はジョーカーにならずにいられるか?そう問いかけられています。この映画は主人公がジョーカーへと変貌する前と後で分けられると思います。
ジョーカーとなった彼は怒りと悲哀の中で「善と悪の定義の曖昧さ」、「自分の在り方は主観で決めるもの」といった思想を社会に熱烈に訴えかける。観客にも響いてくる。この映画から学べる大きなこと。それは、この思想をアーサーがジョーカーになってしまう前に、持っていれば、どれだけ彼は救われていたのだろうかということです。アーサーはジョーカーにならなかった展開もあったかもしれません・・・。
私たちは社会的に弱い立場の人、変わり者と呼ばれる人を「逸脱者」として扱う社会にしてはならない。と「私」は感じました。(ジョーカーは全く掴み所がない)
また自らもアーサーのような「心優しい人」であるうちに、人を幸せにするために、自分らしく生きる努力をしなければなりません。自分を含め、社会に新たなジョーカーを生み出してしまわないためにも…。
万人受けは期待できない映画だと思いますが、主演のホアキン・フェニックスの狂気染みた演技だけで見応えがあります。あと、人によって感じ方や物語の捉え方がまるで変化する映画なので多くの人に観てもらいたいなと思います。